10,000mAhでスマホが2回充電できない理由

読みもの

表記の容量と、実際に取り出せる量は違います。計算の仕方と、容量の決め方です。

10,000mAhのモバイルバッテリーで、4,000mAhのスマートフォンを充電する。計算上は2.5回できそうですが、実際は1.5回程度です。

理由は3つあります。

1. 電圧が違う

モバイルバッテリーの「mAh」は、内部のセル電圧(3.6〜3.7V)を基準にした数字です。

一方、USBで出力するときは5V以上に昇圧します。電力量(Wh)は変わらないので、電圧が上がるぶん、取り出せる「mAh」は減ります。

10,000mAh × 3.7V = 37Wh
37Wh ÷ 5V ≒ 7,400mAh(5V換算)

つまり、5V基準では約7,400mAh。ここですでに26%減っています。

2. 変換のロスがある

昇圧と充電の過程で、電力の一部が熱になって失われます。効率は80〜90%程度です。

7,400mAh × 0.85 ≒ 6,300mAh

3. スマートフォン側にもロスがある

受け取った電力を電池に貯めるときにも、多少のロスがあります。

結果として、表記の6〜7割程度が実際に使える量、という計算になります。

  • 10,000mAh → スマホ(4,000mAh)を約1.5回
  • 20,000mAh → 約3回
  • 5,000mAh → 1回に届かないことも

メーカーの表記も、この前提で書かれている

多くの製品ページには「iPhoneを約◯回充電」と書かれています。この数字のほうが実態に近いので、mAhより先にこちらを見てください。

たとえば3,000mAhの薄型製品では「iPhone 16を約0.4回」と明記されています。mAhの数字だけ見ていると、この実態は分かりません。

Whという単位

飛行機の持ち込み制限は、mAhではなく**Wh(ワットアワー)**で決まります。

Wh = mAh × 電圧(V) ÷ 1000

セル電圧3.7Vで計算すると、

  • 10,000mAh → 約37Wh
  • 20,000mAh → 約74Wh
  • 27,000mAh → 約100Wh

100Whが持ち込みの基準になるので、一般的な製品はほぼ収まります。ただし、2026年4月に個数と保管場所のルールが変わっています(機内持ち込みのルール)。

多くの製品は、本体に定格容量(Wh)が印字されています。表記のない製品は、保安検査で確認できず止められることがあります。

容量の決め方

「何回充電できるか」から逆算します。

使い方 目安
日中に少し足す 5,000mAh級(薄型の例
1日1回のフル充電 10,000mAh級(標準的な例
数日間、充電できない 20,000mAh級(45W出力の例
ノートPCも充電する 20,000mAh以上+45W以上の出力

容量を上げるほど重くなります。 毎日持ち歩くなら、5,000〜10,000mAhが現実的な範囲です(選び方)。

出力(W)も見る

容量とは別に、どれだけ速く充電できるかは出力で決まります。

  • 20W前後 → スマートフォン
  • 30〜45W → タブレット、一部のノートPC
  • 45W以上 → ノートPC

容量が大きくても、出力が20Wならノートパソコンは充電できません。用途に必要な出力を先に確認してください(充電が速くならない理由)。

劣化も考える

新品でも6〜7割。そこから使ううちに劣化します

  • 2〜3年で、体感できるほど容量が落ちます
  • 満充電での放置と高温が、劣化を早めます
  • 防災用に置くなら50〜80%で保管し、3か月ごとに点検(バッテリーを長持ちさせる習慣

「余裕を持って選ぶ」のは、この劣化を見込むという意味でもあります。

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