充電まわりの用語集(PD・PPS・GaN・EPRなど)
商品ページに並ぶ略語を、買うときに必要な範囲だけ説明します。
充電器とケーブルの商品ページは略語だらけです。全部を理解する必要はありませんが、買うときの判断に関わるものだけ押さえておくと外しません。
出力と規格
W(ワット)
電力の単位。充電の速さの目安になります。ただし、機器側の受け入れ上限を超えて流れることはありません。
商品ページの「合計100W」は全ポートの合計で、1ポートあたりではありません。ここを見落とすと、思ったより遅くなります。
USB PD(Power Delivery)
USB-Cを使った給電の標準規格です。今のUSB-C充電器は、ほぼこれに対応しています。
- PD 3.0まで → 最大100W
- PD 3.1(EPR) → 最大240W
PD対応どうしなら、メーカーが違っても動きます。
EPR(Extended Power Range)
PD 3.1で追加された、100Wを超える給電のための仕組みです。240Wまで扱えます。
使うには、充電器・ケーブル・機器の3つすべてが対応している必要があります。ケーブルが古いと、100Wで頭打ちになります。
PPS(Programmable Power Supply)
電圧を細かく刻んで供給する方式です。対応機種では、発熱を抑えつつ速く充電できます。
Androidの一部機種は、PPS非対応の充電器だと一段遅いモードになります。「純正だと速いのに社外品だと遅い」原因の多くがこれです。
AVS(Adjustable Voltage Supply)
PPSと同じく電圧を細かく調整する方式で、より高い電圧帯を扱います。対応機種との組み合わせで効きます。
QC(Quick Charge)
Qualcommの急速充電規格です。Androidの一部機種で使われます。PDとは別系統ですが、両方に対応した充電器が一般的です。
素材と構造
GaN(窒化ガリウム)
半導体の材料です。従来のシリコンより電力変換の効率が高く、同じ出力でも小さく、発熱が少ない充電器を作れます。
「GaN搭載」と書かれた製品が高いのは、この小型化のぶんです。据え置きで使うなら、大きくても問題になりません。持ち歩くかどうかで、払う価値が変わります。
折りたたみ式プラグ
コンセントの刃を畳める構造です。カバンの中で他のものを傷つけません。持ち歩く充電器では、あるかないかで扱いやすさが変わります。
PSE
日本の電気用品安全法に適合していることを示すマークです。これがない製品は買わないでください。
ケーブルの用語
eマーカー
ケーブルに内蔵された識別チップです。100Wを超える給電には必須です。
見た目が同じでも、eマーカーがないケーブルは60Wで頭打ちになります。詳しくはUSB-Cケーブルの見分け方に書きました。
USB 2.0 / 3.2 / 4
データ転送の速度の規格です。充電のW数とは別物です。
- USB 2.0 → 480Mbps。充電専用と考えていい
- USB 3.2 Gen 2 → 10Gbps。外付けSSDに使える
- USB4 / Thunderbolt → 40Gbps。映像出力や高速転送に
「240W対応」と書かれたケーブルでも、データはUSB 2.0のことがよくあります。用途に合わせて別のケーブルを使い分けるのが正解です。
DisplayPort Alt Mode
USB-Cで映像を出すための仕組みです。PC側のポートが対応していないと映りません。同じPCでも、ポートによって対応が違うことがあります(ハブとドックの話)。
ワイヤレス充電
Qi(チー)
ワイヤレス充電の標準規格です。置くだけで充電できますが、コイルの位置合わせが必要でした。
Qi2
マグネットで位置を固定する仕組みを標準に取り込んだ世代です。置いた瞬間に吸い付くので、位置合わせのずれによる充電失敗が減ります。詳しくはワイヤレス充電は、速さではなく置き方で選ぶに書きました。
MagSafe
Appleのマグネット式充電の呼称です。Qi2はこの仕組みを業界標準に取り込んだ形なので、考え方は近いものです。
バッテリーの用語
mAh(ミリアンペアアワー)
バッテリーの容量です。ただし、mAhだけで比較すると実態を見誤ります。
モバイルバッテリーの表記容量は内部のセル電圧(3.7V前後)基準で、実際にスマートフォンへ送れる量は変換ロスで6〜7割程度になります。10,000mAhのバッテリーでスマートフォンを2回充電できない、というのはこの理由です。
Wh(ワットアワー)
容量を電力量で表したものです。飛行機の持ち込み制限はWhで決まります。mAhからの換算は「mAh × 電圧(V) ÷ 1000」です。
半固体電池
電解質の一部をゲル状・固体状にした電池です。従来のリチウムイオン電池より、液漏れと熱暴走への耐性を上げる方向の技術で、2026年に入ってモバイルバッテリーでの採用が増えています。
パススルー充電
バッテリー本体を充電しながら、同時に他の機器へ給電できる機能です。コンセントが1口しかない環境で効きます。ただし発熱が増えるので、バッテリーには優しくありません。
用語を全部覚える必要はありません。買う前に見るのは、W数(単ポート)、ケーブルの対応W数、機器側の上限の3つです。ここが揃っていれば、たいていは足ります。
選び方の手順はUSB充電器の選び方に、価格の記録は充電器のカテゴリにまとめています。
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